仮面舞踏会と新しいお面


好きな人はお面をいつもしている。
お面はキツネのお面。
僕は好きな人の素顔をよく見ている。
めちゃくちゃ可愛い。
でも、いつもお面をしている。
顔に自信がないらしい。
醜形恐怖症らしい。
自分の顔が醜く見えているらしい。
素顔はめちゃくちゃ可愛いんだけれど。

「メレオ顔めちゃくちゃ可愛いよ」
「ロイ、嘘つかないで。メレオ私は醜い。お面がないと生きられない。」
「そのお面は必要だ。お面いつまでつけているの。」
「一生、お面をつけとくわ」
メレオはお面をつけて生きていくって決めている。
僕はメレオの素顔もお面の姿も大好きだ。
性格はよく分からない。
でも、メレオと一緒に過ごしている時間が多い。

「メレオ、ストーブのマキを持ってきたよ」
「木屑でいいわ」
「新聞も入れます?」
「ロイが勝手にして」
「メレオ、隣の隣の街で集落の集まりがあるって。僕は行くけれどメレオはどうしたい?」
「行かない」

メレオは自分の部屋に閉じこもって、いつも何をしているのか分からない。
人の集まりにも参加しない。
集落の集まりにも行かない。
ロイが頑張って、メレオの体裁を良くしている。

集落の集まりに来た。
「ロイ君、可愛い可愛いメレオちゃんを早くここに連れてきてよ」
「集落長にはメレオを見せれないです」
「メレオちゃんがいるからロイをここの集落に住ませているんだよ。このチケットをあげよう。」
「そのチケットは」
「金持ちだけが集まるイベントのチケット。でも、集落の人達も参加出来ると。それはメレオちゃんが可愛いから噂になっているんだ。」
「メレオは僕のものです」
「それは分かっている。でもメレオちゃんをずっとお家に閉じ込めていたらメレオちゃんの身体が心配だ。外の人と交流させてやれ。メレオちゃんを世間に出せ。」
「ロイが責任を持ってメレオを」
「メレオちゃんのメンタルを強くさせたい。忍耐力をつけさせてあげて。」
「確かにメレオは精神も弱い。我慢強くない。メンタルを強くするには忍耐能力を上げないと」
「メレオちゃんは我慢に慣れていない。我慢強くさせてあげて」
「分かりました。このチケットでロイがメレオを連れてイベントに行きます」

僕は悩んだ。
メレオを人前に。
でも、人に慣れさせないと、僕がいなくなった時にメレオは生きていけない。
メレオは閉じこもっているし、世間を知ったらいい。
僕だけでは成長もしない。
イベントにメレオを連れていく。

「メレオ、集落長に貰ったイベントのチケット」
「行かない」
「何で」
「だってお面をつけているから」
「お面はつけてていい。顔に傷があると言え」
「顔に傷はあるわよ」
「ん」
「顔に傷があるの。ロイは知っているでしょう」
「顔に傷があるからお面を」
「ずっとお面をつけとく」
「イベントに一緒に行こう」

そして、イベントに行った。
チケットを渡したら直ぐに入れた。
そこは豪華な会場だった。
シャンデリアがいっぱいあって、赤のカーペット。
ワイングラスが沢山。
宝石も普通に置いていて。
クロコダイルの飾り。
画面のモニターは光っている。
画面のモニターから音楽が。
何より人が全員美しい。
「ロイ、僕はここに来て良かったんだ…」
「メレオ、私浮いていない。」
「大丈夫だよ」
「オシャレしているの」
メレオがオシャレしているのは珍しい。
もしかして好きな人を探している?
僕では物足りない?
僕がいくらアタックしても、好きな人がいるって言っていたし。
もしかしてこのイベントに好きな人が来ている?!
「もしかしてこのイベントに好きな人がいる?」
「急に何言っているの」
「笑顔じゃん」
「私は、ずっと好きな人がいるから、その人の事しか考えていない」
「意味わからない」

僕はトイレに行った。
メレオは心配だったけれど、我慢出来なかった。
トイレから帰ってきたら
何処かの国の王子とお話し、している。
話しを聞いてみよう。

「仮面舞踏会にはよく行くんです?」
「何それ」
「仮面舞踏会はいつもどちらへ」
「分からない」

僕はメレオの所に走って行って
「この子は集落で僕が面倒を見ています!」
「田舎のもの?名前は?」
「ロイです」
「この子の名前だよ」
「メレオです」
「僕はスリランカの王子だ。この子を貰うよ。」
「メレオはあげない!」
「手配して」
何処かの王子が手を叩き始めた。
黒服がきてメレオを木箱に入れて何処かに持って行った。
「メレオを帰せ!!!!」
僕は黒服に抑えられてメレオと引き離された。
気を失った。


私はメレオ。
気づいたら何処かの国の王子のお姫様にされていた。
「ドレスは黒が似合う。仮面も黒にしよう」
「お面を返して!」
「この黒の仮面のが似合うよ」
「黒の仮面でお城にいるの」
私はロイが好きよ。
ロイの所に帰りたい。
ばれないように言う事を聞いた。
「私は王子様に従います」
「それでいい。いつでも見える範囲にいるのだ。」
「鎖で王子様と私を繋げとけば」
「ずっと見える範囲だ。鎖を持ってこい」
王子様とメレオ、私は鎖で繋がれた。
黒の仮面で一緒にいる。

「仮面舞踏会にはよく行っていた?」
「王子様、それは言えないです」
「何人と関係を持った?」
「言えないです」
「会話は出来るのだ」
「いえ…」
この王子様は仮面舞踏会についてよく聞いてくるわ。
それが性癖なんだろう。
でも、私はお面をしてないと生きていられない。
仮面でも大丈夫。

王子様がワインを飲んでいるすきに、王子様の鎖を切って、窓から鎖を落とした。
「ロイ!鎖で引っ張って」
「メレオ!ここにいたんだ!何かあったら鎖を落とすって言ってた!ここにメレオがいるんだ!」

僕はロイ。
鎖を辿ってメレオの所まで来た。
剣を持ってきた。
王子の所で剣をメレオに向けた。
「メレオをロイ、僕のものにしないと、メレオの目を剣で傷つけます」
「…」
「メレオは僕のもの」
「仮面舞踏会に参加するつもりないだろうから、いらないよ」
「ではメレオは僕のもの」
「好きにしろ」

メレオの新しいお面をつけて抱き抱えてメレオを集落のお家に持って帰った。
メレオは新しいお面をつけて顔を抑えている。

メレオのお面から涙がいっぱいこぼれていた。