「追いかける恋愛はしたくないの」
ラシが言っていた。
何かあったんだろう。
理由は聞かない。
ラシはいつも1人でいる。
1人でいても泣いた所を見た事ないんだ。
僕には弟がいる。
弟はラシを警戒している。
弟はラシは危険人物だって思っている。
僕はそう思わない。
僕は兄として沢山の人のパターンをしっている。
しっかりもしている。
人は過ちだってあるんだ。
一つ一つを認めていかないといけない。
過ちも許してあげないといけない。
心を広くして、相手も広く見てあげないと。
「弟、もっと心広くなれよ」
「お兄さんこそ心狭いよ」
僕は心狭いよ。
好きな人の事に一直線になってしまって周りが見えない。
「お兄さんは治したらいい所沢山だよ」
「治すって、治らないだろ」
「ごまかさないで」
「ごまかしてもいいだろ」
「ラシはお兄さんと釣り合ってない」
「ラシちゃんは兄とお似合いだ」
「釣り合ってないよ。」
「ラシちゃんと釣りでも行ってこよう。2年後。」
弟は気が張っている。
何か命でも狙われているんだろう。
命を狙われると人はイライラしてしまう。
弟は常にイライラしてしまう。
でも、僕、兄は余裕だよ。
人は過ちだって受け入れないといけないんだ。
これから僕は過ち犯す可能性だって。
ラシちゃんがいた。
「ラシちゃん!兄だよ!その顔大丈夫?!」
「聞かないで」
「泣いている?」
「泣いてない」
ラシちゃんの目から涙が出ている。
ラシちゃんは走って逃げた。
僕、兄はラシちゃんの事がさらに好きになった。
ラシちゃんの事しか考えられない。
ラシちゃんを追っかけた。
ラシちゃんの腕を掴んだ。
ラシちゃんは暴れた。
兄、僕はラシちゃんを抱きしめた。
「僕はラシちゃんの事を」
「言わないで」
弟がきた。
弟が
「兄を奪わないで!!!!」
「弟、やめろ」
弟はラシをお家に帰した。
「お兄さん、ラシは危険思考を持っているよ」
「ラシはまともだよ」
「お兄さんは気づいていない」
「ラシの事は僕が1番知っている」
弟は走って何処かに行った。
僕は次の日、弟を誘って山登りに行った。
「雪の日に登る山は最高だよ」
「お兄さん、弟を山登りに誘うなんて」
ここは険しい山。
鉄の釘を岩に打ち付けて登る。
雪も積もっている。
「頂上まで登るぞ」
5時間かけて、ずっと山を登っている。
「お兄さん…息が苦しい…」
「弟、頂上まで登るんだ」
「お兄さん、寒いよ…」
「根性で登るんだ」
そこは吹雪になって視界も悪い。
岩が上から降ってくる。
「お兄さん、岩が痛い」
「僕は100回は岩に当たっている。ケガもしている。全身傷だらけで赤いんだ。」
「命を大事にしてよ」
「命は大事だ。命は大切だ。」
10時間は山にいる。
視界も見えなくなってきた。
岩も沢山。
ずっと吹雪が続いた。
泣きながら、そこにいた。