自分より


「他に好きな人が出来た」
レンが言い始めた。
「嘘だ」
って言ってウヨが泣いている。
「嘘だよ」
レンはウヨの頭を触った。

お家の屋根にウヨが走って行った。
飛び降りようとした。
慌ててレンはウヨを抱き抱えて部屋まで連れて行った。
「レンがいなくなったら生きていけないよ」
「それでいいよ」
ウヨをお風呂にいれて、髪をしっかりさせて、ドライヤーを持ってきて、タオルを持ってきて、部屋のイスに座らせて話し合いを始めた。
「ウヨ話し合いをしよう」
ウヨはまたお家の屋根に行こうとした。
その場でウヨを抱き抱えて腕を掴んだ。
「ウヨ話し合いだよ」
「レンとずっといたい」
「それは同じ感情だ」
「レンの意味を考えている」
「知っているでしょ」
「レンとウヨの秘密を作ろう!」
「秘密とは」
「他の人を好きと思ったら首にアザを作ります」
「いいよ」
レンはウヨとの秘密をあっさりOKした。
ウヨは慌ててレンを抱きしめた。

僕はレン。
ウヨが可愛いで仕方ない。
ここまで、ウヨの事を考えているので、ウヨと一年中くっついていよう。
「ウヨ絶対そばにいて」
「ずっとレンといる」
実際、そばに居てくれないとウヨの思っている事が分からない。

ウヨは山奥のコテージで縛られていた。
「助けて!組織に消された!助けて!ここにいる意味も分からない!」
そう言って叫んでいる所を、僕が腕に繋がれている長いタオルを解いてあげて、ウヨを抱き抱えてお家まで連れてきた。
ウヨは組織に見つかってはいけない。
ずっと一緒にいないといけない。
僕は何度も消されてきた。
僕も気付いたら知らないロシアの山奥の民家にいた。
ここで組織にずっといろって言われている。
境界から出たら組織が追ってくるし。
ロシアの山奥だとSPがいるから多分大丈夫。
そして、ウヨを大勢のロシアの人達の前で見せびらかしたよ。
ロシアの大勢の人達の前でウヨが大事な人って言ったら
「何か釣り合っていない」
って言われた。
そしたら、ロシアの王子のトーマスが来て
「僕は4年前から目をつけていたんだ。レンの事を」
そう言ってウヨをぶった。
ウヨはトーマスに向かって
「トーマスは住む世界が違う」
って言った。
トーマスは
「レンの事を1番に考えている。レンは清い人だ。美しい人だ。美しい以上の人だ。僕の生き甲斐だ。レンに触れないで。」
って言ってウヨをぶった。
ウヨはレンの腕を掴んで、お家に帰って行った。

「ウヨ、腕強い」
「レンの腕にアザ出来ている。ウヨがつけたの。」
「ウヨにつけられたら本望だ」
「現実って残酷だよ。」
フリーメイソンが街にいっぱいいる。フリーメイソンと友達だ。フリーメイソンがよく見張っている。非公式で。友達と思っているんだろう。」
フリーメイソンの事はもういい」
「何で」
「だってレンの事しか考えられない!」
「もう組織に消されないようにしよう」

僕は街に出かけた。
またフリーメイソンが同じ場所にいる。
全員、新一みたいな青年だ。
こっちを見てヒソヒソ話している。
フリーメイソンは何がしたいんだ。
フリーメイソンはテレビに出ていたし顔がバレバレ。
よく考えたら、消されるのはウヨではなくてフリーメイソンが危ないのでは。
だってフリーメイソンは目立った事をいつもやって陰謀論を言っているぞ。
しかも、フリーメイソンが街でつけてくるし。
フリーメイソンの名前を出しとけば、組織もフリーメイソンに気が向くだろう。
フリーメイソン頑張って。

ウヨの事をよく考えている。
ウヨは記憶力の問題。
存在している。
けれど、いつも脳で気にかけてしまう。
ずっと脳で気にかけている。

その日、僕はウヨに遺書を書いてみた。
「ウヨの事が好きすぎて、ウヨがいなくなるより先にいなくなります」
その遺書をウヨにあげた。
「バカ!自分はいなくならない!」
「そうだ。ウヨはいなくならないんだ」
「ウヨは絶対にレンとずっとずっといるんだ。それは絶対そうだ」
「そうだった」
「ずっとウヨとレンはいる。」

お家の屋根から飛び降りてみた。

気が付いたら、ウヨがいた。
「神様にお願いしたの。レンとウヨは同じ世界にいるよう。」
「何度も何度もレンとウヨは生きてしまう。生きている。」

でも、ガラスを割るよう。
感情は割れていく。

ウヨは気付いていない。

もし、亡くなった後の世界が良い世界で
レンとウヨが同じ世界にまた連れて行かれると
それは、レンとウヨが実際に屋根から飛び降りたら
その世界は立派であるだろう

ウヨは気付いてない

「この世が波瀾万丈でもいいの」
「この世が荒れていてもいいの」
って言ってウヨが暴れている。
ウヨがめちゃくちゃ可愛いで自分がアレだよ。
ウヨといると自分の全部が劣等感の塊になってしまう。
だってウヨが可愛いすぎ。
自分より可愛い。

レン、僕は長い世界で気づいた事を暗記しているんだ。
大事でいるウヨ。
発想。
イデア
計算。
勉強。
知識。
暗記力。

この時間が長く感じてしまう。
長い長い時間を過ごしている。