車と海と手が落ちた時。

「才能が負けてしまう」
自分は走った。
動向が早い。
行き先は分からない。
でも、分かってしまった。
分かってしまったつもりなんだ。

包丁を持った。
使い方が分からない。
手が震えてしまう。
直ぐに包丁を落とした。
自分は包丁を持てないよ。
やっぱり、包丁を持てないよ。

「嘘だ、全部嘘だ」
「レクイしっかりしろ」
僕はラギ。
レクイは全部を嘘にした。

僕は人間としての自分の使い方の主導権を握っている。
それゆえ脅してしまう。
レクイは現実を見過ぎている。
自己犠牲がどれだけ悲惨な結果になろうと。

警察に手紙を書いた。
「僕は誰でしょう」
アリの足を1000個詰めて。
そこら辺の奴の指紋をつけて郵送させたよ。
でも、世間は注目してくれない。
注目されたくない。
レクイだけに評価されたい。
それ以外はゴミと一緒だ。

次はコンビニのドアにナイフを50個。
と言いたい所だけれど、画鋲を1000個。
コンビニのドアに画鋲を1000個落としたよ。
そのつもり。

でも、晴れないんだ。
気持ちは晴れないんだ。
レクイが笑ってくれないし。
朝方になるとレクイを抱きしめるんだ。

「ラギ、時間見てよ」
「今、勉強しているよ」
「僕はラギの友達でしょ」
「誰だっけ」
このプライドが高い奴は誰だ。
レクイではない。
レクイではない。
僕はこいつを気絶させた。
許せない。
レクイではない事が許せない。

レクイが崖で座って泣いている。
顔を隠している。
泣かないでよ。
泣かないで。

「レクイ、僕はバカだよ」
「そう、ラギはバカだよ」
「全部を気にしてしまう」
「それはやめよう」
「では40.70を考えてしまう」
「中途半端」
「好きな人に好かれるためには努力だよ」
「ラギといたら疲れてしまう」
レクイはお家に帰った。
レクイの言葉が脳内にまだあって気持ちいい。
レクイの事を考えていると気持ち良い。
でも、そればかりだと人間失格だよ。
僕は人間失格だよ。
そうだとヤバイ。
感情が消えてしまう。
戦争から手を引っ張って。
逆だよ。
「何しているの!ラギ、こっちよ!」
レクイが僕の手を引っ張っている。
ミサイルが落とされた。
皆、海に逃げている。
「レクイ、何処へ」
「シェルターよ、シェルターに行くの」
全員と逆に行き出した。
レクイに従った。

「ラギ、包丁を持って」
「持てないよ」
「では、これを持って」
「これは今住んでいる所の出口の資料?!」
レクイは僕をここから逃がそうとしている?!
ラギを殴った。
「まだ、レクイと一緒にいる!」
「あたしもラギと一緒にいたい。」
「この資料で僕を逃がそうと?!」
「だって、ここにいてはミサイルが飛んできてしまう」

僕はレクイをクローゼットに閉じ込めた。
その間に嘘の資料を作った。
ミサイルから逃れる嘘の資料を。
この資料をレクイにあげたい。

ミサイルが飛んできた。
でも、まだレクイといる。
レクイとラギはずっと一緒だ。
僕は片目を失った。
意識も。

ここは、シェルター。
レクイが沢山のミサイルを見て笑っている。
「ラギ、ミサイルが飛んでいるの美しいと思わない」
「何を」
「ミサイルが沢山あって、最後は誰がいるんだろう」
「レクイがいるだろ」
「最後は誰が生きているんだろう」
「ゲームでは」
「シュミレーションをしたんだ。ミサイルを飛ばしている人はもういないんだ。」
「メンタル強すぎたよ」
「海から手が出ている。車のガラスから手が出ている。それがずっと見えているんだ。」
「レクイ、僕を見よう」
「車のガラスから手が出ていて、それに引き摺り込まれてしまう」
「海に行こう」
「ラギ、知らないでいい事がいっぱいだよ」
「僕はやっぱりバカだ」

レクイが僕の顔を触ってきた。
「狂気と同じ感覚が脳内についています」
「何で分かった」
「その思考回路を貰います〜」
「シュミレーションだろ」
「脳内が全く見えないんです」
「ん」
「好きな人の脳内を知りたくない」
「何で」
「好きな人の脳内は見たくない。この意味分かっているの。」
「シュミレーションしていいよ」
レクイが僕だけに言っている。
レクイが僕だけに言っている。
多分。
全部、嘘だよ。