暗記能力と恋の完全


「排除排除」
「消えたらいい」
ブツブツ言っている。
だって、嫌いだし。

ガキも嫌い。
ガキが近寄ってきた。
「ノート拾った」
「嫌いって書いてあげよう」
ガキは嫌い。
適当にあしらう。
25歳ぐらいの大人がいい。
紳士で色気があって。
やっぱり大人がいい。

大好きなウヨに会いにいく。
ウヨは色気があって可愛いくて、声もタイプで、初めてかっこいいと思った人。
今まで誰もかっこいいと思わなかった。
ウヨは初めてかっこいいと思った。
ウヨが何か言っている。
コッソリ聞いてみよう。

「王様ではないです。分かった。分かった。」
ウヨ?!
いつも、そんな事言わないじゃない。
自分がウヨを王様扱いした日が忘れられないの?!
どちらかと言うと旦那様。
まだ何か言っている。
「この説明はしっかりと聞いてよ。分かりました。」
ウヨは1人で会話をし始めた。
1人で2役、頑張っている。
僕が相方になろう。

「ウヨウヨ!可愛い!僕と逢引きだよ!」
ウヨに抱きついた。
「1人にして…」
ウヨはイスに座った。
また抱きしめて
「1人ではないよ」
「レン…」
ウヨの腕を掴んだ。

ウヨを1人にしない。
ウヨは感性が鈍っている。
しっかりしないと、と思っている。
ウヨが独り言を言っている。
またコッソリ聞いた。

「こっちの気持ちは…隠している」
隠している事って。
隠していたい事は隠していてもいいんだよ。
「いけない人…いけない人…」
そうでもない。

「ウヨ!感情が混合しているよ」
「レンには全部を背負われた人の気持ちが分からないでしょ」
「僕はいつも全部を受け止めている。ウヨの気持ちも受け止めている。」
「レン…」
ウヨが飛びついてきた。
ウヨの身体は暖かい…

ウヨの感情を1番大事にしている。
その自信しかない。
ウヨが出来た人間。
僕だけが知っているウヨの秘密。

「これはこれはレン君。僕の事気にしているんでしょう。」
「気にしているふりをしているだけです。」
別の国の王子様。
僕に付き纏っている。
僕の理解者だ。
「僕は見た目が一般的にもうけますよ。性格もいい。性格がいいふりをしているだけ。人にも簡単に好かれてしまう。それは性格がいいからだ。人にうけるんだよ。見た目がいい。」
「見た目がいいのは確かです。頭もいい。でも、つっこむ所がないんだよ。僕はつっこみたい。」
「僕はしっかりしているふりをしているだけ」
「僕のかっこいいの基準はいい台詞だよ」
「レンは好きな人の事しか見えないの」
「そうだよ」
「好きな人の事が見えないんでしょ」
「何で分かっている」
「好きな人の気持ちを読めないのださいよ」
「これでも頑張っている」
僕は走って空き缶を蹴った。
空き缶を排除しないと。
空き缶はガキだ。
ガキは自分の事をガキと分かっていない。

そ・れ・に・く・ら・べ
ウヨウヨは大人だ。
色気もあるし、とびっきりかっこいいし、僕の事をずーと考えてくれるし、思いっきりかまってくれるし、行動力もあるし、語彙力あって文才もよく出来ているし、可愛いし。
ウヨウヨに絡む奴は全部排除だ。
ウヨウヨの苦労はレンが1番知っている。
僕しか知らない。
僕がウヨを一生旦那様と言わせよう。

ウヨがシーツを手で洗っている。
シーツが汚れている。
いつもシーツが汚れてしまう。
僕が洗うよ。
ウヨをまた抱きしめた。
「そればっかり…」
「だってウヨが可愛いすぎだよ」
ウヨに首ったけ。
ウヨがずっと続くよう。
ウヨが続いてくれないと。
生きる価値はウヨが等しい。
ウヨがこの世の全て。

別の国の王子が来た。
「蜃気楼に恋しているんだろう」
そうだ。
ここは砂漠だった。
蜃気楼にウヨが見えてしまう。
ウヨは好きな人を見てはしゃいでいる。
良かった。
ウヨの気持ちがそれで良かった。
でも、僕は暗記能力がいい。
暗記している。
そう。
暗記している。