自信しかない。

「これがあたしの旦那様?!」
あたしは逃げた。
胸が苦しい。
心臓がずっと動いてしまう。
「待って、何処までも追いかけます」
そう言って、抱きしめた。

「宝は行方不明…」
宝はお兄ちゃん。
宝は大好きな人とイチャイチャしてきますって言って行方不明になった。
それでもいい。
家族がいなくなった。
家族がいない。
自分は婚約する事になった。
知らない人と。
ばあやが知らない王子と結婚しなさいって言ってきた。
あたしは王子と結婚する運命。
王子が連れ去ってくれるの。

「これがあたしの旦那様?!」
あたしの旦那様は直ぐに謝ってしまう。
あたしの旦那様は自信がない。
あたしの旦那様はかっこいい。
あたしの旦那様は多分明るい。
あたしの旦那様は自分の事ばかり考えている。
何よこれ。
ちんちくりんじゃない。
あたしに似合う人はクールで紳士で。
「紳士がお似合いよ!」
「お姫様ごめんなさい…」
旦那様は最初に謝ってきた。
「人の気持ちも知らないじゃない!!」
旦那様を思いっきりぶってしまった。
首が赤くなるまで殴った。
「あなたの事を知りすぎている。情報量が多い。データもあります。調べています。ずっとあなたの事を調べます」
「最低…」
そうして逃げた。
直ぐに抱きしめてきて
「ずっと側にいるよ。離れない。息もさせない。」
何回もキスをしてきた。
「酷い!」
また殴った。
「紳士でいるだろ」
「何処が紳士よ!デリカシーがない!」
「あなたと永遠に一緒だよ」
「死んでも続きがあって、そこでもあなたがついてくるんだ」
「生きている場合もずっと側にいるよ」
「場合?」
「ずっと抱きしめているよ」
旦那様は抱きしめ始めた。
あたしはまた身体中赤くなるまで殴った。
身体を洗った。
あたしの手が汚れてしまう。
旦那様はニヤニヤしていた。
余裕ぶっているだけじゃん。
クールでいたいだけじゃん。
旦那様の考えている事は行動で分かってしまう。
分かってしまう。
分かりたい。

ばあやがもう1人婚約相手を持ってきた。
コイツは知っている人。
コイツは王子だったの?!
「初めまして。あなたに婚約相手がいても、いい。もう1人の結婚相手にして下さい。」
「考えます」
自分は気が乗らなかった。
イケメンだし王子だしかっこいいし性格も良いし。
でもプライド高そう。
だって、旦那様と誓って抱きしめたんで旦那様の事しか考えられない。
旦那様と誓ったんだ。
そうよ。
旦那様と誓って色々と抱きしめあった。
形はそれぞれでも。

「お姫様、僕王子がいます。一緒に乗馬でも」
「旦那様がいるし…」
「それでもいい。僕、王子が乗馬の練習相手です。」
「王子しつこいよ」
旦那様が走ってきた。
「お姫様は僕のもの」
「旦那様…」
そして旦那様と公園に行って身体を拭いて貰った。
旦那様は
「外に出たら森林の樹木が身体につきます。このハンカチでお姫様の身体を拭いてあげます。」
「ここのベンチは座っても大丈夫?」
「僕がベンチになります。このハンカチも食べます!」
「嘘ばっかり」
あたしは顔を真っ赤にして笑った。
旦那様が嘘を言っていてもいい。

僕はお姫様の王子。
初めて人を好きになったのに、旦那様がいるとかあんまりだ。
しかも婚約者は僕。
僕の理解者はお姫様だけ。
プライドが高いの嫌い。
お姫様は好き。
でも、嫌いになりたい。
嫌いになってしまえば諦めがつく。

ばあやがきた。
「お姫様の事は諦めなさい」
「諦めないよ」
王子、僕は馬の所に行った。
馬を森林に置いた。


そして、旦那様が走ってきた。
いつでもいるの。

「お姫様!旦那様がきましたよ」
「旦那様」
「旦那様がずっとデータを調べて良い結果にします!」
「自信ない」
「度胸はあります!知識量も多いです!」
「それが自信ないの!」

王子がきて
「お姫様の事は好きです。でも旦那様が好きらしいんで、下僕として側にいます。下僕だから何しても怒っていいですよ」
「怖い」
「お姫様と側にいれればいいんで。それが自分のため」
「視界に入ってない」
王子を馬小屋に閉じ込めた。

旦那様の所に行った。
旦那様がいびきをかいていた。
初めて男の人のいびきをきいた。
ごめんなさい。
いびきで眠れない。
眠れない。
睡魔。
睡眠。
いびき。
旦那様のいびき?!
初めて男の人に抱きしめられた。
抱きしめられた後の形がいびきを聞く事。
そうだったの。
疲れているんだ。

「あなたはいつも何を考えているんです」
「起きていたの?!」
「いつも何を考えているの」
「迫られても」

髪型を新しくして、教会に行ってみた。
教会はよく行くの。
教会の聖書を呼んだ。
聖書に「聖書の裏を必要」って書いてあります。
色んな意味を考えたの。
教会でいっぱいフォローしてきたの。
でも、教会に犬はいないんだ。
好きな人が犬を連れてきていたんだ。
教会に好きな人が犬を連れてきていたんだ。

旦那様の所に帰って。
「旦那様、忘れられない人がいます」
「今日は身体洗うの」
「旦那様、好きな人がいます」
「ドライヤーの音好きだよ」
「旦那様、ごめんなさい」
「声も好きだよ。見た目も好きだよ。」
「旦那様でいい」
「ずっと一緒だって」
「自信がないでしょ…」
「自信しかないよ」