サラリーマン

※創作です。





僕は結婚してる。
僕は1年前に今の嫁からプロポーズされた。

嫁は「働くのなんか嫌よ。世間体を気にしてるから専業主婦になりたいわ。」
と言ってた。
プライドが高い僕はその言葉通り嫁を専業主婦にさせた。

僕はサラリーマンなんかじゃない。
本当は無職。
嫁はその事を知らない。

週に5回、公園のベンチで嫁から貰ったお弁当を食べているだけ。
毎朝5:00に起きて、嫁が朝見送って6:00には家を出る。
そして家が見えなくなった所で近所の公園のベンチでずっとお弁当を食べてるだけ。
今日は結婚記念日なのでバラを一本買って帰ろう。

家に着くと嫁がいつも通りの笑顔で待っててくれた。
何かを期待しているかのように。
そして、そのまま嫁が肉じゃがを作ってくれていて、僕はもそもそと肉じゃがを食べた。
お風呂に入って、寝巻きに着替えて、そのまま寝た。


また朝いつものルーティンで近所の公園に来た。
何で僕は昨日バラの花をあげられなかったんだろうと自分を責めていた。
近所にいる子供達が眩しくて、さらに心が荒んでいく。
僕はお弁当を眺めて
「そうだ、僕は高学歴なんだ。だからもっと見合った会社があるはずだ。この履歴書に貴社と媚び売るように書いて、また面接に行こう」
とつぶやき、履歴書を買いに行った。

家に帰ってきて、嫁がいつもの笑顔で迎えてくれた。「いつも朝早く起きて大丈夫?今日は外食にしよっか?」
と言ってきた。
僕は「今日は僕がオムレツ作るよ」と言った。
嫁は「外食じゃ駄目?外食にしよ、ほら、スーツは着替えて」
そうして、僕は嫁と外食に行った。
外食先で嫁はずっと笑ってた。
デザートにパフェなんか頼んでる自分が悔しい。嫁のご飯の方が美味しくて泣けてきた。
僕は「明日から転勤なんだ」
と嘘をついた。
嫁は「行ってらっしゃい」
と笑顔で言ってくれた。